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『クイーンS』玉嶋の見解
①2020年 振り返り
今週はクイーンステークスです。2020年このレースでは、レッドアネモス単勝を的中させました(※2021年は函館開催のため割愛)。当時は内が有利なトラックバイアスでしたが、マスターはどう振り返りますか?
レッドアネモス推奨理由
(1)前走、前々走は外枠から強引に先行し、スタート直後で脚を使わされる厳しい競馬。今回は1枠1番の絶好枠。
(2)ダイワキャグニー同様、ムラがあるタイプ。近走の惨敗で人気急落。
(3)京都競馬場でモズベッロ(日経新春杯勝ち。京都得意)に勝っている。弱い馬に出せないパフォーマンス。
(4)1 番人気スカーレットカラーは追い込み脚質。騎手の注意は後方に集中し、前のマークは手薄に。しかも、追い込みは不利を受ける可能性が相対的に高い。
後方の内目で脚を溜めた3頭で決着したように、この日は若干イン有利な馬場でした。玉嶋さんが言う通り、レッドアネモスはオッズほどは弱くなかったし、私も好走可能という判断でした。ただ、スカーレットカラーは、直線で致命的な不利があったんですよね。それについてはどう思いますか?
いや、本当に仰る通りで、私は後方からの脚質でスカーレットカラーが差し損ねる可能性があった点と、レッドアネモスがあまりに過小評価されていた点を考慮して結論を出したんですが、、、スカーレットカラーは当時のメンバーを振り返るとやっぱり強かったし、レッドアネモスよりもスカーレットカラーの動向を目で追っていたくらいでしたので。この辺りは単なる割り切りで、スカーレットカラーに勝たれる可能性は高かったし、ただ「怖かった」というのが本音です。
正直だなー笑。大きいの当ててるんだから、もっとドヤれば良いのに
いやいや、とんでもないです。競馬へ向き合うスタンスは、予想屋マスターから学びました。競馬って、そもそも難しいっていう立ち位置だと、烏滸がましくて尊大な振る舞いなどできません。
また、尊大な振る舞いをし始めると、多分抜け出せなくなります。 そういうのって、ブーメランになって自分に返ってくるし、感情のコントロールも難しくしちゃいますので。大穴なんて、所詮水物でしかないし、単勝40倍なんて、30回に1回来れば良いやくらいにしか思ってません。
②ウォーターナビレラ電撃参戦
注目度が高そうなので、この馬について触れていきたいと思います。
桜花賞では展開とトラックバイアスに恵まれる可能性が高いとして、◎を打ちました。2着でしたが、上手く立ち回った結果であり、それほど高い評価に値しないと考えました。桜花賞の結果を踏まえて、この馬の評価は「実はそんなに強くない」でした。(立回りは上手ですが)
オークスでは、展開、トラックバイアスの助けを受けられない可能性が高いと考え、桜花賞の時とは一転して評価を△に下方修正しました。結果は、周知の通り惨敗です。マスターは、この馬をどう評価しますか?
桜花賞2着はスローの2番手追走、阪神JFは先行2頭から離れた3番手追走とかなり展開に恵まれていて、 能力的には実績ほど強くはないと思いました。だから、僕もオークスに関しては距離というよりも、実力が出ただけと思っています。ただ、競馬が上手な馬なので、いつも好位から競馬ができることは確かですね。札幌の馬場について、イン有利が続いて内枠を引くようであれば、人気であってもそれなりの評価が必要だと思っています。
ありがとうございます。そうなんですよね。オークスは「距離が…」というのもあったのでしょうけど、私も単純に実力負けだと思っ ています。高速馬場の東京2400mは、言うほどスタミナは必要ないですし(直線まで緩く流れて、残り600mからの勝負)。去年のオークスはソダシが惨敗しましたが、あれは折り合いがつかずにチグハグな競馬になってしまったのが主原因だと思います。ウォーターナビレラの場合、折り合いは難しい馬ではないですからね。
脱線しました。話を今年のクイーンステークスに戻します。マスターの言う通り、桜花賞の実績を考慮して高い評価を与えるのは当然ですが、絶対視は禁物だと考えます。テイエムスパーダやナムラクレアが軽斤量で古馬重賞を勝っていますが、中距離は惰性だけで簡単に押しきれるほど甘くないし、相手もスプリント路線より強いので。トラックバイアス次第では、オークスようにアッサリ垂れてしまうケースも視野に入れておくべきだと思います。世間の下馬評の大勢は「軽斤量で桜花賞2着の馬が出てくるから、勝たれても仕方ない」ですが、私は決してそうではないと思います(トラックバイアス次第)
③札幌 函館との違い(曲率)
札幌競馬場と函館競馬場の曲率半径について触れてみます。会員の皆様は各競馬場の曲率半径 R をご存知でしょうか?
札幌:167m 函館:127m 福島:●m 新潟:●m 東京:●m
中山:●m 中京:●m 京都:●m 阪神:●m 小倉:●m ※●は「競馬の教科書」で解説
競馬場によって随分違います。上で挙げている曲率半径 R は、高速道路のインターチェンジや急カーブとほぼ同じです。イン ターチェンジ周りのカーブは、制限速度は 40km/hの道路が多いと思います。一方、競馬では 60km/hでコーナーに突っ込んでいきます。しかも馬群が密集しながらなの で、かなりヤバそうですが、そこでさらに熾烈なポジション争いを しているのですから、もう訳が分かりません。
コーナリングを制する者は、競馬を制します。また、曲率半径が小 さい函館、中京で前残りが発生しやすい理由について触れたいと思 います。首都高速や名古屋高速、阪神高速の急カーブでは、スピー ドの出しすぎで頻繁に事故が起きています。普通なら、急カーブではあまりスピードは出せません。競馬も同じで、急カーブは減速し、ここで休憩した(脚を溜めた)逃げ・先行馬がそのまま残ってしまうレースが散見されます。(以上「競馬の教科書」より抜粋)
札幌の場合、函館に比べてコーナーが緩いため、トップスピードで コーナーに突っ込み、そのまま直線に向かうため、函館よりも前残 りが起こりにくいことを頭に入れておいてください。
④馬場状態、トラックバイアス、枠
前週のレースを確認しましたが、かなり時計が掛かっている状態です。内外の有利不利は、週末のレースで再度確認したいと思います 。札幌1800mは、コース形態に内枠がやや有利なため、2020年レッドアネモスのように、ちょっと力が足りない馬でも、内枠を引いた場合は要警戒です。
金子さん「天運」
中京記念では、ファルコニアと間違えてコルテジアの単勝を買ってしまう痛恨のミス。まあ、よくあることだけど、ここからが俺の真骨頂。ファルコニアは3着だったから、どっちにしても外れ。運をコントロールできるのが、本物のプロってもんよ。
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2022年 上半期 成績
年間予算の52%消化(32R)
的中率53%(17/32)
複勝チャレンジ除く 40%(10/25)
主力券種:馬単、三連単
回収率&主な的中:Twitterプロフィール欄
複勝チャレンジ:7戦7勝
30代半ば/本業:士業/大学から本格的に競馬を始める。予想屋マスターを知り、理論的な競馬の分析に目覚める。リトル予想屋マスターを目指し、予想法を徹底的にコピーした。時間の制約があるため、芝オープンのみにフィールドを限定している。凱旋門賞の単勝万馬券、AJCCの288万円等の的中実績あり。「単勝多点」「変則フォーメーション」等多彩な馬券術に定評がある。「競馬の教科書」は個人出版ながら異例のベストセラー。「別冊」は予想屋マスターとの共著で再びベストセラー。日本一の競馬作家になるのが夢。Twitter(keiba_tamashima)