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世代限定戦 馬柱の見方
今週末から、トライアルが本格的にスタートします。世代限定戦でも、やることや考え方は古馬のレースと基本的には同じなのですが、方法論が少し違います。ダービーまでの世代限定戦は、例え重賞であっても古馬とは異なり、淘汰の過程にあります。将来、古馬一線級のG1でも活躍して種牡馬入りする馬と、下級条件のまま終わってしまう馬が一緒に走るのが世代限定戦の重賞です。
例えば、スラムダンクでは、陵南高校のキャプテン魚住は、高校引退後、バスケットボールとは縁を切り、板前の道へと進みます。湘北高校のキャプテン赤木相手に無双され、その赤木が山王工業のキャプテン河田相手に無双されたことを考えると、魚住はプロで通用しなかっただろうと推察します。それと同じことが、競馬でも起こっています。
脱線しました。
ミスリードする恐れがあるので、今回のコラムで配信する内容については『競馬の教科書』では一切触れていません。世代限定戦は『能力比較』の応用編です。馬柱のどこを見て、強い or 強くないを判断しているか?ポイントを6つ①②③④⑤⑥解説します。
①新馬戦、未勝利戦 時期
総じて、時期が早ければ早いほどレベルが高い。当たり前だが、強い馬はアッサリ勝ち上がって上のクラスへいくため、このクラスからいなくなる。例えば、年明けの未勝利戦デビューの馬が圧勝しても、「実は周りが弱すぎた」なんてオチは少なくない。強い馬は、6,7月辺りの東京、阪神の新馬戦を使って(遅くても、秋口の新馬戦)、秋の重賞や朝日杯FS、阪神JF、ホープフルSを狙いにいく。
②新馬戦、未勝利戦 開催場所
『第5章 能力比較 クラスの壁② 勝ち上がった場所でレベルが違う』で解説している通りだが、特に東京1600m以上、阪神外回り1600m以上がハイレベル。クラシックを意識した馬でなければ、相手が強すぎてここを使うメリットがない。
③3歳戦は12月のG1が中心
「そんなの当たり前じゃん?」だが、これを念頭に置いておけば、同じ重賞勝ち馬でも見方が変わってくる。例えば、京成杯は、一昔前はエイシンフラッシュらを輩出しており、『出世レース』と言われていた。しかし、ホープフルステークスがG1として同条件で行われるようになってからは、レベルが急激に下がった。ソールオリエンスが圧勝したが、相手が弱すぎたため、あのレースだけで『クラシック有力候補』と決め付けるのは早計。あのメンバー中だと強いというところまではわかるが、一線級の馬が相手だと、通用するかは分からない。強い馬は、朝日杯、阪神JF、ホープフルSに向かっている。同様の論理で、皐月賞や桜花賞が行われる前後のNZT、アーリントンカップや、ダービーやオークスのトライアルである青葉賞やフローラステークスも、「皐月賞に出られなかった馬同士のレース」であることを念頭に置いておくべき。
④足踏みする馬は弱い
これも当たり前。新馬⇒未勝利⇒未勝利⇒未勝利でやっと勝ち上がるような馬は、強くない。ごく稀に例外はいるが、未勝利脱出まで4,5戦以上要しているような馬がトライアルに出てくる場合は、私はその時点で、馬券の検討対象から外す。過去のレース内容についても、時短のため、ほとんど精査しない。
ディープスカイ 戦歴▼
https://db.sp.netkeiba.com/horse/result/2005101358/
(何を食わせたのか?は知らないが、毎日杯を勝った後、NHKマイルC、ダービーを連勝。ごく稀にこういう例外はあるが、例外を拾うファインプレーのために、外れ馬券の山が積み上がる。)
⑤連勝する馬は強い
またまた当たり前。夏の東京新馬を勝って、秋口の重賞等を連勝できる馬は、強い場合が多い。
⑥適性や展開⇒比重小さい
世代限定戦の場合、淘汰のフィルターを突破した『つおい』古馬オープンクラスとは異なり、淘汰の過程であると同時に、教育の過程でもある。道中は「抑えて、直線まで脚を溜めるのが競馬」を教育するのが騎手の大きな仕事であり、ほとんどのレースはスローで流れる。
ごく稀に、サウジアラビアRCグラニットのように、序盤からガンガン飛ばす馬もいるが、あれを若駒のうちから覚えてしまうと、馬には「競馬は好き勝手走っても良いもの」とインプットされる。それでは脚が溜まらず、直線で垂れてしまうのは、誰でも分かる。
例えば、セリフォスがマイルCSで大爆発したのは、安田記念、富士Sで騎乗した藤岡佑介騎手の教育が大きいと考える。朝日杯FSで抑えない競馬を覚えてしまい、NHKマイルCで暴走して直線で垂れてしまったが、安田記念、富士Sでは藤岡佑介騎手の教育により溜める競馬を覚えた。この先は無事に外国人騎手へバトンタッチして、マイルCSでは、この馬の持っている能力を最大限に出せるようになった。「覚醒した」というよりも、「持っている能力をレースで普通に出せるようになった」と表現する方が適切かも知れない。
https://db.sp.netkeiba.com/horse/result/2019104462/
めでたし めでたし
『競馬の教科書』では、第8章『馬はバイクじゃない 馬は朝令暮改が大嫌い』でも、同様の内容を解説しているので、併せて参照していただきたい。
ちょっと脱線したが、世代限定戦では、ほとんどの馬が教育をしながらレースを走っている状況であり、古馬のレースのようなタイトさ(ポジション争い、早いペース)がないレースがほとんど。したがって、古馬のレースよりも『能力≒着順』であることが多く、何回レースをやったとしても、ほとんどの場合で同じような結果になると考えておくのが妥当。
⑥結論。若駒の場合は、あまり奇をてらって『適性』『展開』に傾倒して予想すると、古馬のレース以上にトンチンカンな予想が完成するリスクが極めて高いので、やめておくのをオススメする。一部の例外はあるにせよ、「前走はこっちが勝ったから、こっちが強い」を積み上げていく方が、はるかにマトモな予想ができる。
以上、①②③④⑤⑥の「当たり前」を念頭に、弥生賞の出走予定メンバーを「馬柱の見方」に特化して、いくつか例を挙げたいと思います。(※本来ならば、レース映像も精査すべきですが、混乱を招くため、ここでは敢えて割愛)
●トップナイフ
未勝利脱出まで3戦要しているが、ホープフルステークス2着等の実績がある。今回のメンバーは相手が弱すぎるため、消去法で浮上。
●タスティエーラ
11/27の新馬戦でデビュー。朝日杯やホープフルステークスを目指す馬は、この時期の新馬戦には出てこない。「周りが弱いのではないか?」の可能性を疑うべき。
https://twitter.com/keiba_tamashima/status/1630353058038439936?t=-BtsEszX1aG248YHZYVcgA&s=19
●レヴォルタード
タスティエーラに同じ。
●その他
未勝利戦を脱出するために4,5戦使っている馬や、クラスが上がってから凡走が続いている馬は、根本的に能力が足りていない可能性が高い。例えば、そういう馬が東京から福島等、レースレベルが低いローカルへ転戦して勝ったからと言って、「本格化した」と考えない方が良い。
今回は敢えて馬柱の見方について特化してコラムを書きましたが、『能力比較』の基本は『競馬の教科書』で書いた内容であり、レース映像をしっかり見ることです。馬柱だけ見て印を打つのは、手抜き予想であるという考え方は、世代限定戦だろうが、古馬のレースだろうが、同じです。今回のコラムを念頭に置いた上で、基本に忠実に能力比較をやってみることをオススメします。
弥生賞 番付
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小結
トップナイフ
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前頭以下
タスティエーラ 他
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少頭数で、上位人気で決着しそうなレース。オッズの歪みが生じる可能性は、極めて低い。歪めば、参戦する。
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番付の意味
1ランク差
→枠順、トラックバイアス、展開次第では逆転可能。
2ランク差
→枠順、トラックバイアス、展開に恵まれても逆転困難。
秘密兵器
→過去のレースから、番付上位と互角に渡り合える可能性を秘めた馬。
※番付は、過去のレースにおける最大出力を評価する指標であり、この序列の通り決着することを示すものではありません。
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30代半ば/本業:士業/大学から本格的に競馬を始める。予想屋マスターを知り、理論的な競馬の分析に目覚める。リトル予想屋マスターを目指し、予想法を徹底的にコピーした。時間の制約があるため、芝オープンのみにフィールドを限定している。凱旋門賞の単勝万馬券、AJCCの288万円等の的中実績あり。「単勝多点」「変則フォーメーション」等多彩な馬券術に定評がある。「競馬の教科書」は個人出版ながら異例のベストセラー。「別冊」は予想屋マスターとの共著で再びベストセラー。日本一の競馬作家になるのが夢。Twitter(keiba_tamashima)