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まず、ヴィクトリアマイルを振り返りたいと思います。この馬の単勝オッズは5.7倍(4番人気)で、ファインルージュ、ソングラインは5.1倍(同率2番人気)でした。私は、このオッズを見て「えっ?」と思いました。
同感。ソダシって阪神JFと桜花賞を完勝してるんだよね。一方で、ファインルージュ、ソングラインはG1未勝利。ソングラインのNHKマイルカップは勝ちに等しい内容だけど、桜花賞や皐月賞よりは、格下感が否めないからね。
そうなんですよ。ソングライン、ファインルージュがこれだけ人気を背負ったのは、東京の好走実績ですかね?この2頭も良い馬ですけど、やっぱりソダシの方が強い。しかも、この日は圧倒的に内が有利なトラックバイアスでした。ソダシが馬なりで先行すれば、どう考えたって有利。ソングラインは1枠でしたけど、同じく内枠(3枠)だったソダシに先着するイメージを私は持てませんでした。
みんな「適性」にこだわりすぎなのよ。まずは「シンプルにどっちが強いの?」がスタートラインで、そこで優劣がつくなら適性なんて安易に持ち出すべきじゃない。このレースは、そういう意味で良い教材だよね。
仰る通りです。よく質問や相談を読者の方からいただくんですけど 、「ビギナーの頃よりも勝てなくなった」というのが本当に多いんです。多くの場合は、詳しくなるのは良いんですけど、玄人好み( ?)の予想にシフトしがち。 強い馬は素直に高く評価すれば良いのに、「適性」「調教」「 血統」に中途半端に手を出して、どれも中途半端では質の高い予想などできるはずがありませんからね。
ここで核心に迫りますが、ビギナーだったら、ソダシを買えていたって言う人は結構多いはずです。実績を考慮すると、この馬(もしくはレイパパレ)が最上位クラスなのは明白(誰が見たって、客観的にそう)で、それならば素直に評価すれば良い、というのが私の考え方です。マスターが言うように、安易に「適性」に飛び付くのは良くないと思います。
競馬を長くやっていると、なんとなくウンチクで格好をつけたい気持ちも分からなくないんですけど、それで勝てないなら本末転倒です。ソダシやタイトルホルダーみたいに、馬なりで先行してそのまま押し切る馬って、見解は書きづらいですけど、私はそれならそれで良いと思っています。何の目的で競馬やってるの?という話で(馬券で勝つためであって、ウンチク垂れ流すためではない)
前置きが長くなりましたが、ソダシはヴィクトリアマイルで完勝しました。去年の札幌記念も決して楽な展開に恵まれた訳ではない中での完勝。しかも、慣れない古馬との初対戦でした。ウォーターナビレラは、クイーンSで古馬中距離重賞の壁を越えられませんでしたが、この馬はその壁をアッサリ越えました。
ラヴズオンリーユーを早めに捕まえに行くも、外からはブラストワンピースが被せてくる厳しい展開。これで勝ちきったのですから、ケチの付けようがありません。したがって、現時点では本命級の高い評価が妥当と考えました。
そろそろ、話をまとめよう。この馬は白毛。白は光の反射率が高いから、熱を吸収しにくい。白毛は、俺が考案した新感覚ファクター「MS」(猛暑指数)が高め。さらに、札幌記念で白毛は(1-0-0-0)で勝率100%。そういうことだろ?玉ちゃん?
そだね(小声)
日本競馬の王道 中距離
Twitterでよく「距離延長、距離短縮のどちらが良いの?」と質問をいただきます。一概には言えませんが、大前提として、2000m前後の距離が最もハイレベルであることを念頭に置かなければなりません(東京2400m、有馬記念を含む)。
現代の日本競馬は、2000mを中心に回っていると言っても過言ではありません。ダービーやジャパンカップは2400mですが、東京競馬場の2400mは高速馬場であることが多く、スタミナよりもスピードが要求され、今や2000m寄りのスピードがなければ勝つことは困難です。ディープインパクトやロードカナロア等、 スピード偏重の種牡馬がその傾向に拍車をかけました。
強い馬は新馬戦からダービーに向けての臨戦過程で2000m前後の距離を使うことが多いようです。2021年ダービー1、2着のシャフリヤール、エフフォーリアは正に典型的です。2000mでデビューした強い馬は、そのカテゴリーに留まり続けますが、それよりも弱い馬でなかなか勝てない馬達は他のカテゴリーに活路を求めます。要は、2000mを中心に淘汰されていきます。具体的には、カテゴリー別の強さは以下のような構図となります。
★★★2000m
★★☆1600m2400m
★☆☆1200m2500m以上 ※有馬記念除く
何故、2000mが中心に日本競馬が回っているのでしょうか?答えは単純で、「賞金の高いレースが多いから」。理由はシンプルにこれだけです。例えば、自分が馬主や調教師の立場だとイメージしてみてください。
天皇賞(秋)を快勝して、ジャパンカップとマイルCSどちらでも選べるならば(2400mは、ちょっと長いかも)、どちらを選びますか?関係各所との調整は必要ですが、私ならジャパンカップを選びます。理由は「賞金」。競馬関係者は言うまでもなく、遊びやレジャーで競馬をやっている訳ではありません。生活するため、家族を養うために競馬をやっています。
したがって、賞金が高いレースに向かいたいという発想は自然です。しかしながら、日本人は国民性で「お金儲け」を忌避する傾向があります。「賞金が高いからジャパンカップに行くよ!」と公言する関係者は見たことがありません。参考で、ジャパンカップとマイルCSの賞金一覧は以下の通りです。
ジャパンカップ
1着300,000,000円 ①
2着120,000,000円 ②
3着75,000,000円 ④
4着45,000,000円
5着30,000,000円
マイルCS
1着130,000,000円 ③
2着52,000,000円
3着33,000,000円
4着20,000,000円
5着13,000,000円
同様の論理で、「牝馬の場合は阪神JF、桜花賞、ヴィクトリアマ イルがあるマイル路線が最強クラスなのでは?」も説明がつきます。「賞金が高いレースに、強い馬が集まる以上」。牝馬の中でも、規格外のエアグルーヴ、ブエナビスタ、ウ オッカ、ダイワスカーレット、アーモンドアイ、リスグラシュー、 クロノジェネシスらは、賞金の高い王道路線に向かいました。その他にも、「お金」で説明がつく事案は沢山ありますが、長くなりそうなので、今日はこの辺にしておきます。
秋G1 注目馬
スプリターズS
ウォーターナビレラ、メイケイエール、シュネルマイスター、セリ フォス、ピクシーナイト、香港馬
→最もレベルが低いスプリント戦線のカテゴリー。距離短縮組に要 警戒(但し、先行力、追走力に欠ける場合は減点)。香港はスプリントが花形。一線級でなくても要警戒。
凱旋門賞
外国馬
→馬券妙味優先。日本馬はフタを開けないと分からない。(適性については、基本的に重視しない方針だが、ロンシャンはあまりにも馬場が違いすぎるため、例外的に考慮に入れる)
秋華賞
スターズオンアース、ナミュール、サークルオブライフ、スタニン グローズ、ウォーターナビレラ
→春クラシック組が中心。夏の上がり馬は、懐疑的に評価する。
菊花賞
ダノンベルーガ、イクイノックス、ジオグリフ、アスクビクターモア
→春クラシック組が中心。夏の上がり馬は、懐疑的に評価する。
天皇賞(秋)
ダノンベルーガ、イクイノックス、ジオグリフ、ソダシ、レイパパレ、ジャックドール、デアリングタクト、エフフォーリア
→現役最強馬決定戦①
エリザベス女王杯
秋華賞上位、デアリングタクト、アカイイト、ファインルージュ、 ソングライン
→馬場が荒れて外差し決着に要警戒。※出現頻度が低い条件。
マイルCS
デアリングタクト、ソングライン、ファインルージュ、シュネルマ イスター、ダノンスコーピオン、セリフォス、ジオグリフ、 サリオス
→馬場が荒れて外差し決着に要警戒。※出現頻度が低い条件。
ジャパンカップ
天皇賞(秋)に同じ
→現役最強馬決定戦②
チャンピオンズカップ
(専門外)
香港スプリント
→香港馬(スプリントは、香港の花形カテゴリーである一方、日本は低レベル)
香港マイル
→未定
香港カップ
→世界最高クラスである日本競馬の花形のカテゴリー。妙味なし。
香港ヴァーズ
→同上。
阪神JF
(まだ分からない)
朝日杯FS
(まだ分からない)
有馬記念
ジャパンカップに同じ。+凱旋門賞組
→現役最強馬決定戦③
ホープフルステークス
→(まだ分からない)
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2022年 上半期 成績
年間予算の52%消化(32R)
的中率53%(17/32)
複勝チャレンジ除く 40%(10/25)
主力券種:馬単、三連単
回収率&主な的中:Twitterプロフィール欄
複勝チャレンジ:7戦7勝
30代半ば/本業:士業/大学から本格的に競馬を始める。予想屋マスターを知り、理論的な競馬の分析に目覚める。リトル予想屋マスターを目指し、予想法を徹底的にコピーした。時間の制約があるため、芝オープンのみにフィールドを限定している。凱旋門賞の単勝万馬券、AJCCの288万円等の的中実績あり。「単勝多点」「変則フォーメーション」等多彩な馬券術に定評がある。「競馬の教科書」は個人出版ながら異例のベストセラー。「別冊」は予想屋マスターとの共著で再びベストセラー。日本一の競馬作家になるのが夢。Twitter(keiba_tamashima)