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こんばんは!玉嶋です。
早速ですが、今週末の『アルゼンチン共和国杯』予想のポイント、番付について、玉嶋の見解をお届けします。
●中距離+マイル戦線 今後の展望
天皇賞(秋)では、3歳馬と古馬一線級が初めて激突しました。第20回メルマガ(バックナンバー)で触れた通り、仮説の段階だったので、正直自信はありませんでしたが、3歳馬が優勢に見える結果となりました。天皇賞(秋)を踏まえて、今後の中距離路線、マイル路線の展望を解説したいと思います。
イクイノックス 大関
→3歳馬の大将格。条件不問で、天皇賞(秋)は内前有利TBの不利な条件で大外を回して快勝。ジャパンカップも連勝の可能性が高い。皐月賞では、道中でやや掛かる危うさを見せたが、レースを重ねる毎に解消されつつある。「能力さえ出せれば」のチート級の馬なので、ルメール騎手は徹底して不利を受けない大外一気を選択する可能性が高い。横綱候補。
ドウデュース 大関
→ダービーは、イクイノックスと位置取りの差であり、能力的には互角。朝日杯FSまで無敗で、皐月賞でも大外を回しても差のない3着等、高い能力を窺わせる。距離は1600~2000mがベストか?ダービーは、やや距離不安があったが、武豊騎手が道中で脚を溜め、上手く乗った(真骨頂)。スピード競馬に適性あり。
ダノンベルーガ 大関
→イクイノックス、ドウデュースと差はないが、着順はいつも下にきてしまう。天皇賞(秋)を見ても、ジャックドール、シャフリヤール以下は力でねじ伏せているし、強いのだが。。。ベスト2000m前後か?
ジオグリフ 大関
→皐月賞は、イクイノックスと互角の内容。道中でイクイノックスが脚を使い、早く抜け出したため、ラストで差せた。それ以降は、ちょっとパッとしないが、今後はどうか?ここ何走かの凡走では、判断が難しい。掛かる馬なので、距離短縮がカンフル剤になる可能性はある。
アスクビクターモア 関脇
→菊花賞は、ハイペースを先行して凌ぎ切る強い内容だったが、2,3着はボルドグフーシュ、ジャスティンパレスで、一線級とは言い難い。春クラシックの結果よりから、先に挙げた四強には見劣るため、番付はワンランク下の関脇。「成長力」については、主観でどうとでもなるので、ファクターにはなり得ない。この馬だけが成長する訳ではないので。一線級と対戦しない限り、優劣は付けられない。有馬記念(出否不明)に出てくれば、そこが試金石。去年はタイトルホルダーが外差しトラックバイアスに屈したが、この馬はどうか?
セリフォス 大関(マイル)
→春のNHKマイルCは掛かって自滅したが、安田記念はスタート直後に後方に下げる競馬で目処が立った。富士ステークスも控える競馬で、一時はソウルラッシュに外から蓋をされる場面があり薄氷の勝利。斤量に恵まれた分で差し切れた。鞍上の藤岡佑介騎手を含め、危うさがある。強引にレースを展開する外国人騎手の方が良さそう。ダノンスコーピオンとは互角。
ダノンスコーピオン 大関(マイル)
セリフォスとは能力的に互角だが、こちらは優等生。早め先頭のNHKマイルカップは、磐石と言って良いか内容。川田騎手を含め、危うさがない。
スターズオンアース 関脇~大関
→二冠馬。文句なしに強い。秋華賞も、絶望的な位置取りから追い込んで僅差の3着。スタニングローズ、ナミュールよりは能力的に上。馬群を割って突き抜けてくる勝負根性も素晴らしい。番付は、『大関』でも良い気がしたが、古馬と未対戦のため、やや控えめとした。
スタニングローズ 関脇
スターズオンアースよりも格下。秋華賞は、内前有利のトラックバイアスを最大限に味方に付けた。先行力があり、早め先頭に立てる立ち回りの良さが長所。
ナミュール 関脇
→スタニングローズと同様、スターズオンアースよりも格下。スタニングローズと真逆のタイプで、立ち回りに課題がある。末脚は強烈だが、秋華賞で外に膨れる等、能力を出しきれないリスクがある。
タイトルホルダー 大関
→古馬の大将格。今年はG1で2勝ちを含む3戦3勝。完全無欠の強さか?と言われると、意外とそうでもない。天皇賞(春)、宝塚記念ともに内前有利なトラックバイアスに恵まれた背景がある。去年の有馬記念では、外差しのトラックバイアスに屈して5着。したがって、今年の連勝だけで「有馬記念は確勝」と断定するのは早計。
シャフリヤール 大関
→天皇賞(秋)は、この馬の能力を考えると、やや物足りなかった。イクイノックス、ダノンベルーガを交わせなかったのは仕方ないとして、ジャックドールを交わせなかったのは案外。秋の大目標はジャパンカップらしいが、目標にするだけでG1は獲れない。これは余談だが、昔インティライミという馬がジャパンカップに「秋の大目標」として出走して惨敗した(照井の本命)。流石に、インティライミよりは強いと思うが、天皇賞(秋)で完敗したイクイノックスとダノンベルーガを逆転するのは考えにくい。
ジャックドール 大関
→大関に配置しているが、イクイノックス、ダノンベルーガ、シャフリヤールよりは若干格下と見ている。天皇賞(秋)では、直線を向くまで馬なりマイペースで、トコトン恵まれたが、イクイノックスとダノンベルーガに完敗。この結果は悲観的に受け止めたい。
ヒシイグアス 大関
ジャックドールと同様、一線級にやや見劣るが、G1で好走できる能力がある。ジャックドールとは同等以上。香港で好走歴があり、香港カップに出れば好走可能。
サリオス 大関(マイル)
毎日王冠は見事な差し切り勝ち。加速力に難があり、ゴール前強襲が定番。安田記念のように、先に抜け出した馬が惰性押しきるレースは苦手。マイルチャンピオンシップは、馬場が荒れて外差しトラックバイアスにシフトするようなら、久々のG1制覇チャンス。
ソダシ 大関(マイル)
ヴィクトリアマイルのように、先行力を生かして惰性で押しきるレースが得意。一方で、札幌記念では垂れて圏外、府中牝馬ステークスでは垂れてイズジョーノキセキの強襲に屈する等、脆い一面もある。マイルチャンピオンシップ外差しトラックバイアスにシフトすれば、どうか?
●高回収馬券戦略 『ディフェンス』
高い回収率を実現するために大事なことは何でしょうか?競馬では「当てる」「高配当」等の『オフェンス』がスポットライトを浴びますが、今日は『ディフェンス』について、天皇賞(秋)を引き合いに解説します。
事例)天皇賞(秋)
出走馬の能力序列は、日曜日の朝にツイートした通り、イクイノックス、ダノンベルーガ、ジオグリフ、シャフリヤールを同列扱いとし、ジャックドールはその下に評価しました。さらに、この中ではジャックドールだけが先行脚質と異端性がありました。ご存知の通り、この日は上位人気が強力で、その下とは大きな能力差がありました。
問題は、内前有利のトラックバイアス。土曜日は、マスターが東京10Rで前残り予想で的中を取ったように、コース替わりの影響か、前週の外差しトラックバイアスと傾向が明らかに変わっていました。
天皇賞(秋)週のマスターの回顧
https://www.keibariron.com/tekihoukoku/61133.html
日曜日も9Rまで入念にトラックバイアスをチェックしましたが、やはり内前有利。この日のように内前有利だと、能力に関係なく内前に残されるリスクがありました。「じゃあ、内前いる馬を買えば良いじゃん」とツッコミが入りそうですが、あくまでも能力的には先に挙げた4頭が優位。
ここで2つのパターンを考えました。
①トラックバイアスを無視して、イクイノックス、ダノンベルーガ、シャフリヤール、ジオグリフでフォーメーションを組む。
→ミスが許されないオッズ。差し損ねたら、笑いじゃ済まされない(そのリスクが低くはなかった)。不的中なら、府中牝馬ステークス、秋華賞、菊花賞まで3連続的中で積み上げた利益の大半が飛ぶ(この3レースは馬場読みによって、十分な期待値があった)。
②トラックバイアスに恵まれそうなジャックドールやパンサラッサを馬券に組み込む。
→ジャックドールを上記4頭に加えてフォーメーションに組み込めば、とてもじゃないが高い期待値の馬券は組めない。かと言って、同じく前目のポジションを取れるからと言って、ジャックドールを消してパンサラッサに印を回す合理的な理由がない。
【結論】
①②より、馬券購入は見送り。
このように、論理的に馬券購入を見送ることは、回収率を上げるためにとても大事なことと考えます(ディフェンス力の向上)。
最後に、枠順やトラックバイアス、展開を味方につけて、一世一代の大逃げであわやの2着に残したパンサラッサは素晴らしい走りでした。そして、さらにその上をいったイクイノックスは、今後もさらなる飛躍が期待できそうです。
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●『アルゼンチン共和国杯』番付
横綱
(不在)
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大関
(不在)
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関脇
アフリカンゴールド
キラーアビリティ
テーオーロイヤル
マイネルファンロン
ユーキャンスマイル
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小結
シルヴァーソニック
ヒートオンビート
ディアマンミノル
ラストドラフト
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前頭
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十両以下
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秘密兵器
※番付の意味
1ランク差
→枠順、トラックバイアス、展開次第では逆転可能。
2ランク差
→枠順、トラックバイアス、展開に恵まれても逆転困難。
秘密兵器
→過去のレースから、番付上位と互角に渡り合える可能性を秘めた馬。
※番付は、過去のレースにおける最大出力を評価する指標であり、この序列の通り決着することを示すものではありません。
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以上を踏まえて、当日の枠順、馬場状態、オッズを確認して検討します。
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玉嶋亮
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予想屋マスター事務局
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2022年 上半期 成績
年間予算の52%消化(32R)
的中率53%(17/32)
複勝チャレンジ除く 40%(10/25)
主力券種:馬単、三連単
回収率&主な的中: Twitterプロフィール欄
複勝チャレンジ:7戦7勝
30代半ば/本業:士業/大学から本格的に競馬を始める。予想屋マスターを知り、理論的な競馬の分析に目覚める。リトル予想屋マスターを目指し、予想法を徹底的にコピーした。時間の制約があるため、芝オープンのみにフィールドを限定している。凱旋門賞の単勝万馬券、AJCCの288万円等の的中実績あり。「単勝多点」「変則フォーメーション」等多彩な馬券術に定評がある。「競馬の教科書」は個人出版ながら異例のベストセラー。「別冊」は予想屋マスターとの共著で再びベストセラー。日本一の競馬作家になるのが夢。Twitter(keiba_tamashima)